不動産投資会社の多くは、不動産購入は生命保険の変わりになると説明していますがこれは間違えではないですが、説明不足だと思います。
不動産ローンを組む際に加入する団体信用生命保険が、生命保険の役割を一部補ってくれると説明する方が適していると思います。
マイホームを購入する際に住宅ローンを利用する場合には、団体信用生命保険（団信）という生命保険を契約することができます。金融機関がこの団体信用生命保険を住宅ローンの条件に入れておりマイホーム購入者にはなじみ深い保険になります。
団体信用生命保険は、投資用不動産を購入する際に組むローンでも利用することが可能です。
多くの人が投資用ワンルームマンションを購入する際は、不動産ローンを組むと思いますのでこの団体信用生命保険について紹介します。
生命保険の代わりになるの？
団体信用生命保険は、住宅・不動産ローンを組んでいる人が死亡または高度障害になった場合に、保険会社から金融機関に保険金が支払われローンが完済されます。
そのため、健康状態などで保険に加入条件に満たさない場合には、住宅・不動産ローンの組めないとこともあります。
団体信用生命保険の補償の範囲は限られています。よって生命保険を解約することが出来るのではなく、生命保険の見直しが出来るのと考えるべきです。
不動産オーナーの死亡や高度障害で団体信用生命保険でローンが完済されると考えると生命保険の死亡・高度障害の掛け金の変更は検討が可能です。
死亡の場合遺族は、ローンの完済された資産である不動産を相続することになり、現金相続より不動産相続で節税効果が生まれますが、一方で生命保険の死亡保険金の非課税枠は不動産のため使えません。
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の受取人が相続人（相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。）である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。
500万円 × 法定相続人の数 ＝ 非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。
国税庁：相続税の課税対象になる死亡保険金
このように生命保険と団体信用生命保険とは、全く異なるため生命保険の代わりになりますとの説明は誤解を生むので気を付けて下さい。
団体信用生命保険は、生命保険の死亡や高度障害の保険を一部補完しますが、不動産オーナーの資産や相続人の状況を踏まえて見直しを検討して下さい。
団体信用生命保険と生命保険の比較
団体信用生命保険と一般的な生命保険の概要について比較してみると団体信用生命保険は住宅・不動産ローンに特化した生命保険であることが分かります。
| 団体信用生命保険 | 一般的な生命保険 | |
| 保険料 | 金利に上乗せ 年齢にかかわらず金利・保険料率が一定 ローン額の減少により保険料が下がる | 年齢、性別、保証期間など条件により異なる 保険料が契約時から変わらない |
| 保険金 | 死亡・高度障害状態等になった時点でのローンの残債額が完済される | 契約条件により一定金額が保険金として支払われる |
| 保証期間 | ローンをの返済期間 | 契約期間は契約者が設定 |
| 生命保険料控除 | なし | あり |
団体信用生命保険の主な種類
団体信用生命保険は、一般的な生命保険と同様に特約がありいくつかの種類があります。
団体信用生命保険は、金融機関ごとに生命保険会社と提携しているため、金融機関により種類や内容は異なります。
不動産ローンを組む際に加入できる団体信用生命保険の代表的なものを紹介します。
- 団体信用生命保険
- 三大疾病特約付団体信用生命保険
- 八大疾病特約付団体信用生命保険
三大疾病特約付き団体信用生命保険
基本の団体信用生命保険の補償内容に加え、三大疾病（がん・急性心筋梗塞・脳卒中）によって所定の状態になった場合にも、保険金によってローンが完済されます。
八大疾病特約付団体信用生命保険
三大疾病特約に加え、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎と診断された所定の状態になった場合にローンが完済されます。
保険金が支払い条件は、生命保険会社によって定められています。高度障害の条件と同様に疾病についても所定の条件があり保証対象が決められています。
ワイド団信
一般的な団体信用生命保険は健康状態の告知義務があります。ローン契約者の健康状態によっては加入することができなことがあります。
ワイド団信（加入条件緩和割増保険料適用特約付団体信用生命保険）は、健康状態が理由で通常の団体信用生命保険に加入できないときの保険になります。ワイド団信は通常の団体信用生命保険よりも加入条件が緩いため加入できる可能性があります。
加入条件が緩和されているので、保険料は一般的な団体信用生命保険に利子が追加され割高になります。
まとめ
団体信用生命保険は、不動産ローンを組む際に加入する生命保険となります。団体信用生命保険は、不動産ローンの借入れをしている人が死亡または高度障害になった場合に、保険会社から金融機関に保険金が支払われローンが完済されます。
一般的な生命保険の死亡保険に役割を一部補ってくれますが、生命保険とは異なり不動産ローンに特化した保険のため代わりになる訳ではありません。
団体信用生命保険の契約内容を確認し、必要に応じて生命保険の見直しをして下さい。
